写真や映像を撮っていると目にする『ISO感度』
よく見るけど何のことかよくわからない、という人も多いはず。
でも実は案外簡単だったりするのです。
そこで今回は、カメラのパラメータでも大切な『ISO感度』について詳しく解説していこうと思います。
良い写真や動画を撮る上で役に立つ知識だと思うので、是非見ていってくださいね。
ISO感度とは?
ISO感度とは、国際標準化機構(ISO)で策定された写真フィルムの規格のことを指します。
ですので、『ISO』という文字を深く考える必要はありません。
本来は、フィルムがどの程度弱い光まで記録できるかを示す値のことで、デジタルも基本的な考え方は同じです。
フィルムの場合はフィルムごとにISO感度は固定で決まっていましたが、デジタルでは自分で変化させることができるのが大きな違いです。
デジタルで置き換えるとどの程度光を増幅させるかを示す値、の方がわかりやすいかもしれませんね。
ISO感度を上げると明るくなる仕組み
ISO感度を上げると、画面全体が明るくなります。
これは、レンズを通してカメラに入ってくる光を電気信号に変換して電子的に増幅させています。
数字を大きくするほど増幅量が増すということですね。
すでに気づいてしまったかもしれませんが、本来の光を強引に強くしているので感度の上げすぎは不自然な撮れ方になってしまいます。
ISO感度を上げるメリット
暗所でもブレない撮影ができる
ISO感度を上げると、光を増幅させて画面全体が明るくなります。
明るくなるということはシャッタースピードを稼げる、と言うことです。
例えば、シャッタースピード1/30でしか撮れない暗い場面でも、ISO感度を上げることで1/100やそれ以上で撮影することが可能になります。
夜の空港や噴水、花火などの動きものには特に役に立つのではないでしょうか。
高速で動くものにピントを合わせられる
モータースポーツのように高速で動くものの決定的瞬間を撮影するには、高速なシャッタースピードが必要です。
ですが、晴天でもない限りシャッタースピード1/8000や1/4000を維持するのは難しい場合が多いです。
そんな時にISO感度を上げることで、適切な明るさで高速でシャッターを切ることができます。
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目で認識できない暗闇でも撮影できる
極端な例ですが、上の写真はα7SⅢのISO409600という化け物じみた感度で撮影しています。
少し明るく見えますが、実際には何も見えない状態です。
肉眼では何も見えない暗室でも、外やPCの微弱な光を増幅させて撮影を可能にしているのです。
カメラに取り込んだ光を電子的に増幅させているので、その気になれば人の目で認識できない暗闇でも被写体が見えるようになります。
例えば、光のほぼ届かない海中でも、微小な太陽の光を何倍も増幅させて撮ることができるということです。
ノイズは盛大に出るので使いどころはわかりませんが・・
豆知識
因みに、人間の目のISO感度はISO375000くらいと言われています。
α7SⅢには少し及びませんでしたが、ノイズレスと考えるとすごいですよね。
ISO感度を上げるデメリット
画像にノイズが増える
ISO感度を上げるとノイズがのってしまい写真がザラザラした質感になってきます。
カメラが受けた光を電気信号に変換し、それを増幅させているのが原因です。
オーディオで音量を上げると雑音(ノイズ)が増えるのと同じです。
特に空などの単色の部分は非常に目立ってしまい、品位が一気に下がってしまうので注意が必要です。
しかも、フレアやゴーストのような『味』にはなりづらく、ただの欠点となってしまうので
いたずらに感度を上げるのは控えるのがオススメです。
理想はISO100
カメラの多くが、ベース感度100となっている場合がほとんどです。
これはつまり、100より上げても下げても電子的処理が働くので画質に影響してきます。
高感度に非常に強いとされるα7SⅢなどでも、ISO640辺りでノイズはうっすら見えてきます。
シャッタースピードやF値を調節して、可能な限りISO100で撮るのが望ましいですね。
下げすぎるとどうなるのか
下げれば下げるほどいいんじゃないの?
と思うかもしれません
ですが実はそうではなく、ベースとなる100を下回ると画質が劣化します。
具体的には、ダイナミックレンジが狭くなり白飛びや黒潰れが発生しやすくなるのです。
どうしても、という場合は画質劣化を覚悟してISO100以下で撮るのもいいかもしれませんが、可能であるなら無難にNDフィルターを使う方が良いでしょう。
NDフィルター
レンズに入る光を抑える役割のフィルター。
晴天下でシャッタースピードを低くしたい場合などで使います。
NDは「Neutral Density(ニュートラル・デンシティー)」の略
直訳すると「中立な濃度」になります。
「ND」の後に続く番号は「光の量を何分の1に減らせるか」を示しています。
数値が大きくなるほどND濃度は濃くなり、より多くの光量をカットできます。
例えば、ND4なら光量を4分の1(2絞り分)、ND16なら1/16(8絞り分)暗くすることができるのです。
【シーン別】ISO感度の上手な使い方
最後に、ISO感度の上手な使い方をご紹介します。
カメラは大きく『F値』『シャッタースピード』『ISO感度』の3つの要素で撮れ方が決まってきます。
その中でも『ISO感度』は最もデジタルな処理なので、調整の優先度は低めと言えるでしょう。
F値やシャッタースピードを調整して解決するなら、まずはそちらを優先させるのがオススメです。
それでもどうしても明るさが足りない、と言った場合にISO感度を調節するのが良いと思います。
明るさが足りない、どうしてもブレてしまう。
そのようなときに最適なISO感度を設定できるようになると撮影のクオリティもぐっと上がりますよ。
上の表は飽くまで個人的な大体のISO感度ですが、何かの参考になれば嬉しいです。
まとめ
ISO感度について、いかがだったでしょうか?
簡単に言ってしまえば明るさを調整するだけの数値なので、そこまで難しくなかったのではないかと思います。
ISO感度の特性を理解することで、シーン別に最適な設定で撮れるようになると思います。
少しでも撮影のヒントになれれば嬉しいです。
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