マイクロUSBが原因でどうしても使うのが億劫だったECM-W2BT
それの後継機であるECM-W3Sがようやく発売しました。
USB-Cになるどころか充電ケースまでついており、使い勝手ではDJI Micを超えた気がします。
今回の記事では音質やノイズ、風切り音などを旧モデルと比較しながら徹底的に検証していこうと思います。
ECM-W3S/ECM-W3ってどんなマイク?
昔にレビューしたECM-W2BTの後継機として発売されたミラーレスカメラ用ワイヤレスマイクです。
ECM-W3には2種類のモデルがあります。
主な違いは送信機の数。
送信機(マイク) | 1 | 2 |
定価(税込) | 47,300円 | 63,800円 |
デジタルオーディオインターフェースで高音質でケーブルレス、しかも給電可能
ECM-W3シリーズの特徴といえばデジタルオーディオインターフェース
電子接点を持つマルチインターフェース(MI)シュー搭載のソニー製カメラなら、ガチャっと取り付けるだけで使用することができます。
ケーブルを介さず信号を直接カメラ本体で記録することができるので、ノイズの混入を抑えた高音質収録が可能。
しかもカメラから給電されるので長時間使用できるのもメリット
φ3.5mmミニジャック/USBでPCやスマホでも録音可能
MIシューを持っていないカメラやPCにはφ3.5mmミニジャックを使うことで録音可能です。
さらにUSB-Cを使うことでもスマホやPCでデジタル音声を出力することもできます。
スマホでの撮影もクオリティアップが図れそう。
新たにノイズ抑制フィルターが搭載され、ノイズ耐性アップ
ノイズカット/ローカットフィルターが新しく搭載されたので、使い勝手がさらに上がりました。
今までは動画ソフトなどでノイズカットしなければならなかったので非常に大きな進化です。
ECM-W3Sを開封&外観チェック
セット内容
- マイク
- レシーバー
- 充電ケース
- キャリングポーチ
- スタンド
- ウィンドスクリーン
- 取扱説明書
接続はデジタル/アナログから選択可能
マイクにはアッテネータが搭載されており、-20dbまで3段階で調節可能
反対側にはノイズ制御フィルターが付いています。
- NC(ノイズカット)
- LC(ローカット)
サイズは意外とコンパクト
充電はUSB-C
ワイヤレス充電は非対応
旧モデル(ECM-W2BT)から変わった部分
レシーバーもマイクもかなり小型化されました。
マイクの小型化が特に顕著で、10gも軽くなっています。
ECM-W3S | ECM-W2BT | |
寸法 | 25.0 mm x 52.5 mm x 20.5 mm | 30.6 mm X 67.6 mm X 19 mm |
重量 | 17 g | 27g |
充電端子はようやくUSB-Cに
旧モデル(ECM-W2BT)はレシーバーにもマイクが付いていましたが、新型(ECM-W3S)は廃止となりました。
それに合わせて側面のスイッチも廃止に
マイク部分も開口部が大きくなり、収音性が上がってそうです
旧モデルでは簡素だったホルダーも三脚ネジ穴が搭載されたスタンドに変更となりました。
このように単独で固定することができるように。
ノイズは旧モデル(ECM-W2BT)に比べて大幅改善してかなり良い
まずはノイズから
録音の条件
- 換気扇などを止めたリビング
- α7SⅢ
- デジタル接続
- アッテネーターは-10db
波形の見方
縦軸が周波数で横軸が時間。
色が明るくなるほど、その部分の周波数が多く含まれているということになります。
ノイズは音声で聴かずとも明らかです。
旧モデル(ECM-W2BT)は無音領域も全体的にノイズ音が入っていますね。
旧モデルはホワイトノイズが目立っていましたが、新モデル(ECM-W3S)は相当改善されています。
ノイズが減ったことで収録された声もクリアになり、音質は大幅に向上したと言えると思います。
ノイズカット/ローカットフィルターの検証
通常時はかすかにホワイトノイズが入っていましたが、ノイズカットではほぼ聴き取れないくらいにまで改善されました。
一方でローカットは低周波が明らかにカットされましたが、若干のホワイトノイズが残る結果に。
ローカットにすると人の声に少し違和感
ローカットフィルターをオンにすると人の声の低周波もカットされるので、メリハリのない声になりました。
個人的にはあまり好みではありませんでした。
使うシーンによりますが、室内で普通に使う分にはノイズカットフィルターが最も良い結果を得れるのではないでしょうか。
ウィンドジャマーによる風切り音耐性も向上
ウィンドジャマーを装着すると、風の音はがっつり緩和してくれます。
完全に消すことはできませんが効果はかなり大きいです。
屋外では付けた方が良さそうですね。
旧モデル(ECM-W2BT)と比べても全体的に良好
こちらも旧モデル(ECM-W2BT)よりも良い効果が得れました。
旧モデルは全体的に色濃く音が含まれていますが新型は全体的に薄くなっています。
特に高周波が抑え込まれており、実際に聴いてみると差は明らか。
マイクの向きは縦と横でそれほど大きな差は無い
ECM-W3Sのマイクは全指向性です。
みぞおち付近に、横向きにつけても縦向きにつけてもそれほど大きな差はありませんでした。
厳密には縦向きの方が若干クリアに記録できましたが、そこまで大きな差ではないと思います。
ラべリアマイク(ECM-LV1)は必要かどうか
ここで気になるのが「ラベリアマイクは必要かどうか」
SONYからはECM-LV1というラベリアマイクが発売されています。
旧モデル(ECM-W2BT)ではラベリアマイクを使った方がノイズを抑制できたのですが今回はどうでしょうか
新モデル(ECM-W3S)ではラベリアマイクを使わない方がノイズ耐性に優れているという結果となりました。
音質の向上を図る為に購入すると、かえって良くない結果になるかもしれません。
ECM-W3Sの3つのデメリット
音質はかなり向上したECM-W3Sですが、競合(特にDJI Mic)に劣っている部分もあります。
詳しく見ていきましょう。
バックアップ録音ができない
ECM-W3Sはバックアップ録音ができません。
私は特に必要だと思ったことは無いのですが、フレーム落ちなどが発生した場合の対策ができないのはリスクではありますね。
電池残量がわかりづらい
これがとにかく困ります。
液晶画面などが付いているわけではないので電池残量がわかりづらいです。
確認方法は電源ランプでの判別のみ
マイクだけで6時間持つので定期的に充電すれば問題はなさそうですが、やはり画面内で確認ができるようになって欲しいです。
ECM-W3S | DJI Mic | |
連続持続時間(マイク) | 最大6時間 | 最大5時間 |
連続持続時間(ケース含む) | 非公開 | 最大15時間 |
付属アクセサリーが少ない
DJI Micにはマグネットやスマホ用アダプタなどが付属していますが、ECM-W3Sには付属していません。
マグネットは便利そうなのでぜひ欲しかったですね・・
価格が高い
定価(税込) | 47,300円 | 63,800円 |
DJI Micの定価37,400円に対して1万円も高いです。
しかもDJI Micはマイクが2つ付属してこの価格
ECM-W3だとDJI Micよりも25,000円ほど高くなります。
デジタルオーディオインターフェースやカメラからの給電というアドバンテージにこの価格差を出せるかと聞かれるとかなり迷いますね。
まとめ:値は張るけどSONYユーザーなら間違いのないマイク
正直なところ価格は高いなと感じますが、SONYユーザーならかなり使い勝手のいいマイクだと思います。
カメラから給電できるという他にないアドバンテージは大きいですね。
旧モデルのネックだったノイズ耐性も向上しているので、ワイヤレスマイクとしてはかなり良い選択肢なのではないでしょうか。
気になる方は是非チェックしてみてください!