実はただの圧縮の方法のこと。
カメラの動画設定などでよく見かけるようになった(4:2:2 10bit)や(4:2:0 8bit)という言葉。
カメラを始めて間もない人は何が何だかわからない、という人も多いのではないでしょうか。
実際僕もそうだったのですが、最近ようやく理解できた気がします。
そもそもどういったものか、どのような違いがあるのか
それらをカメラビギナー目線でわかりやすく解説していこうと思います。
仕組みを知ることで、撮影や編集の理解が深まると嬉しいです。
4:2:2 10bitと表記されていることが多いのですが、
(4:2:2)と(10bit)は別々の言葉です
この二つを分けて解説していこうと思います。
(4:2:2)とは
簡単に言うと
『YCbCr色空間』という情報の変換(サンプリング)方法
このサンプリングの方法を『クロマサブサンプリング』といいます。
動画を構成するYCbCr方式について
4:2:2の前に、理解しなければならないのが『YCbCr』
YCbCrは分解すると
- Y=輝度
- Cb=青系統の色差
- Cr=赤系統の色差
となります。
この3つの情報が合わさることで、普段見ている動画となります。
画像で言うところの、RGB色空間のイメージに似ています
その3つの情報が、間引かれることなく全て入っているのが4:4:4(RAW)データとなります
注意ポイント
4(Y): 4(Cb): 4(Cr)ではないので注意
4:2:2や4:2:0とは何を指すのか
では、次は4:2:2から見ていきましょう
4:2:2は『Yは間引き無し』『CbCrは水平方向の色情報が半分』になっています。
なぜ水平方向の情報が半分になると2:2になるのかはの後ほど解説いたします。
今はデータの間引き方をイメージできれば大丈夫です。
そして4:2:0は『CbCrの水平・垂直の色情報が半分』になっています。
イメージとしては、画像のように隣り合うピクセルが無いような状態になります。
明らかにスカスカですね。
当然、その分データは軽くなります。
3つの数字の意味
YCbCrを大体イメージできたら理解までもう少しです
- 水平情報のみを間引くと4:2:2
- 水平・垂直の両方を間引くと4:2:0
この情報だけ見ると少し理解しにくいと思います。
そこで、先ほどの4:2:0のイメージを例に詳しく見ていきましょう。
クロマサブサンプリングは画像のように2×4ピクセルの範囲で行われます。
その時、色情報は画像の右のように上段4マスと下段4マスにわかれます。
上段にはCbの色情報が2個、下段には0個となっています。
これが、4:2:0でいうところの『2=上段の色情報』『0=下段の色情報』ということになるのです
では次に、よく見かける4:2:2でも見ていきましょう。
画像のように水平方向の情報を間引いた動画は、2×4ピクセルの範囲では、
色情報が『上段=2』『下段=2』というようになります。
つまり、4:2:2ということになります。
なぜ『Y(輝度)』は『4』のままなのか
基本的にYは常に4です。
それは、人間の目は色の変化よりもY(輝度)の変化に敏感だからです。
一方で、人間の目はCb、Cr(色差)の感度は低く、違いに気づきにくくなっています
それを利用して情報を色差の情報だけ間引いている、ということです。
ココがポイント
人間の目の特性を利用して、違いの分からない部分だけを間引いているということですね。
(10bit)とは
これは『色深度(bit深度)』のことを指しています。
『bit』とは、1ピクセルあたりに割り当てる色数のことです。
1bit:2×2×2=8色
2bit:4×4×4=64色
3bit:8×8×8=512色
︙
8bit:256×256×256=1677万色
10bit:1024×1024×1024=10億7374色
この通り、情報量にとてつもない差が生まれます。
諧調が豊かになると、わかりやすい例だとグラデーションが非常にきれいになります。
ココがポイント
bit数が大きくなる事で色情報量が多くなり、階調表現が豊かになるということですね。
どのような違いがでてくるのか
では、説明した二つは実際にどのような違いが出てくるのかを説明していこうと思います。
4:2:2
色の情報が間引かれているので、数字が小さいほど被写体のエッジがボケてきます。
なので、クロマキー合成などで綺麗に切り抜きたい場合は4:2:2や4:4:4などの方が有利ということになります。
しかし人間の目は色差には鈍感なため、
4:2:2を4:2:0にしたからと言って、普通に編集する分にはそこまで大きな差は感じません。
この差に一瞬で気づく人は相当なベテランだと思います。
因みに室内で撮っても、違いは全く判りませんでした。
bit深度(色深度)
高ければ高いほど色が多く諧調表現が豊かなので『バンディング(トーンジャンプ)』が起きにくくなります。
グラデーションが綺麗な夕日などは、bit深度の影響が出やすいと思います。
動画に限らず静止画でも、いざ色を調節しようとするとバンディングが起きることは多々あるので注意が必要です。
動画制作では何を選ぶべきか
本格的な動画作成をするなら、編集時に劣化が起こりにくくなる4:2:2 10bit以上で記録するのが好ましいのではないでしょうか。
4:2:2 10bitなら、α7SⅢやFX3とCFexpress Type A があれば記録可能です。
最新のα7Ⅳも対応しています。
SONY以外では、最近だと以下のような機種が4:2:2に対応しているようです
その他にも対応している機種は存在するのですが、ここでは割愛させていただきます。
ちなみに僕は基本的に大は小を兼ねる精神で4:2:2 10bitで記録しているのですが、
試しに4:2:0で撮っても目を凝らさないと差に気づかないレベルでした。
なのでよほどこだわりが無いのであれば、PCへの負荷も少ない4:2:0で十分だと思います。
まとめると
- 特に理由が無い人は4:2:0で十分
- クロマキー合成を使う人は4:2:2以上がオススメ
- カラーグレーディングをがっつりする人は4:2:2がオススメ
4:4:4(RAW)について
また、α7SⅢやFX3は外部記録に対応しており、ATOMOS社のNINJA Vへ『ProRes RAW 12bit』で記録することができます。
12bitというと約680億7200万色。
意味がわかわないですね、一体何が起こるのでしょうか。
クロマキーのような切り抜き合成を使う場合はとてもきれいに切り抜くことができるので差がわかりやすいのだと思います。
機材マニアとしては、NINJA Vはいつか欲しいと考えているのですが、
とにかく高額なのと、宝の持ち腐れになるのは目に見えているのでまだ買えていません。
4:4:4はどのような違いが出るのかだけ見てみたいですね。
まとめると
動画を極めたい人はNINJA VでRAW撮影がオススメ
bit数は高い方が良い
bit数は4:2:2などよりも差が出やすいので、できれば10bitの方がいいと思います
8bitと10bitでも、空などを撮影すると明らかに違うことが多いです
ココがポイント
スチルも動画も、8bitと10bitで結構違うのでできるだけ10bitがオススメ
まとめ
名前はややこしいけど、実は意外と単純
(4:2:2 10bit)について、少しでも理解が深まったでしょうか?
仕組みを知ることで、どのような設定で記録するのが最適なのかがわかりやすくなると思います。
例えば、グリーンバックなら4:2:2 10bitにしよう。
ただの室内撮りなので4:2:0 8bitで十分だろう、のように
とはいえ何せややこしい仕組みなので、僕もまだ間違って認識している内容もあるかもしれないです。
その時は是非コメントで教えてください。