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【カメラの基礎】F値とは何か?初心者でも簡単にわかるように図解付きで解説!

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デジタルカメラを使うと必ず目にする『F値』という言葉

恐らく、写真や動画を撮る上で一番影響力の大きいパラメータだと思います。

今回はそんな『F値』について、初心者でも理解できるように詳しく解説していこうと思います。

F値を使いこなすことで、撮れる写真や動画がぐっと増えるので是非見ていってくださいね。

F値(絞り値)とは

F値

F値の『F』Focal『F』
日本語に訳すと『絞り値』になります。

絞り羽根

カメラに入る光の量を調節する絞り羽根と呼ばれる部品
これをどの程度絞ったかを表す数値が『絞り値(F値)』
言い換えると「カメラに入ってくる光の量を数値化したもの」ということになります。

この絞り羽根はレンズに内蔵されており、F値はレンズごとに決められています。
レンズのどこかに『F〇.〇』のように記載されている場合が多いです。

F値はレンズの絞りリングを回転させたり、カメラのダイヤルを回転させることで調節ができます。

注意ポイント

絞りリングが搭載されていないレンズもあるので注意が必要

よく使う用語

  • 絞る:F値を大きくすること。
  • 開く:F値を小さくすること。
  • 開放:F値を最小値にすること。
  • 明るいレンズ:最小F値の小さなレンズ

F値を小さくすると起きること

F値の変化で起きること

では早速、F値を小さくすると実際どのような現象が起きるのかを見ていきましょう。

この時、そのレンズの発揮できる最小F値のことを『開放F値』などと言ったりします。

ネットなどで「開放では~」のようなお話をされている方がいらっしゃいますが、これは『開放F値』のお話をされているんですね。

まとめると

  • 実は開放付近では『ボケる』『明るい』以外はデメリットが多い。
  • 変な現象が現れたらまずは絞ってみるといいですよ。

画面全体が明るくなる

明るさ比較

絞りを開くことで光の通り道が大きくなるので、画面全体が明るくなります。

明るい分、暗い場所でも被写体をしっかり認識できるので夜や室内で有利ですね。

背景が大きくボケる(被写界深度が浅くなる)

ボケ比較

F値を開放に近づける程、ピントの合う範囲(被写界深度)が狭くなり、他の部分が大きくボケます。

ただし、被写体との距離によってボケ具合は変化するので注意が必要です。

基本的に被写体が近い方が周りのボケは大きくなります。
一方で、広い景色のような遠景のみを撮影するときは、無限遠となり開放でもボケは発生しません。

被写界深度

よく使う用語

  • 被写界深度:ピントが合っている範囲のことを指します。範囲が狭いと「浅い」、広いと「深い」と言います。
  • 無限遠:被写体が非常に遠方にあること

画面の周辺が暗くなる

周辺減光イメージ

画像は少し大げさに編集しています

画面の四隅がぼんやり暗くなる現象。

一般的に『周辺減光』などと呼ばれています。
広角レンズでよく見られ、特にズームレンズの広角側で見られる場合が多いです。

主な原因は『口径食』『コサイン4乗則』があげられますが、
「開放付近は周辺減光が起きやすい」となんとなく理解できていれば大丈夫です。

『口径食』による減光はF値を絞ることで解消されることが多いので、まずは絞ってみると良いですよ。

収差の影響で画質が下がる

収差イメージ

レンズは球面である以上、中心部と周辺部で光の入射角度が異なってきます
さらに、光は三原色で屈折率が異なります。
この差がさまざまな収差を引き起こすのです。

収差は数が多いので、また別の記事でご紹介しようと思います。

ポイント

収差は開放付近で発生する場合が多いので、色ずれピントがきっちり合わないなどと言った症状が出た場合はまずは絞ってみると解消されることが多いですよ。

F値を大きくすると起きること

まとめると

絞ると『暗くなる』『ボケなくなる』の他に、極端に絞ると画質が低下します。

画面全体が暗くなる

絞ることで入ってくる光の量が減るので、画面全体が暗くなります。

F値を大きくしすぎると、夜や室内では写真が真っ暗になってしまいます。
一方で、明るすぎる日中などでは絞ることで白飛びを防止することもできるので、一長一短ということですね。

画面を明るくするには、F値小さくする以外に「シャッタースピード」「ISO感度」を調節することでも解消します。

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ボケが小さくなり、シャープになる(被写界深度が深くなる)

F値を大きくするとボケがどんどんなくなり、キレッキレのシャープな写真になっていきます。

前も後ろも全部にピントが合っている(被写界深度が深い)状態になるということですね。

大きくしすぎると画質が低下する

回折現象

では、最大F値にすれば最高の画質を得れるのかと言うと、そうではありません。

F値を大きくしすぎると『回折現象』が発生し、画質が低下してしまいます。
『小絞りボケ』なんて呼び方もされています。

光は、障害物にさえぎられるとその裏に回り込む性質を持っています。
その回り込んだ光がイメージセンサー側に曲がって(折れて)広るので『回折現象』と呼ばれているのですね。
小さな穴に光が入ると、レーザーのように直進せずに放射状に広がっていくイメージです。

F値が小さい場合は、まっすぐに入ってきた多くの光がセンサーを覆うので影響はありません。
一方で、大きなF値で光が少ないと、回折した光の多くがセンサーに触れてしまうので画質が低下してしまうのです。

光芒が現れる

光芒

光芒(こうぼう)とは、落書きで描く太陽のように鋭利にピカーっと光る現象です。
絞った状態で点光源を撮影すると発生します。

絞り羽根同どうしのわずかな隙間から光が入り込み『回折現象』によって光が線状にセンサーに到達することが原因です。
回折現象もデメリットだけというわけではないのですね。

光芒の本数は絞り羽根の枚数で決まっています。

  • 絞り羽根が偶数:枚数分の光芒
  • 絞り羽根が奇数:枚数分×2の光芒

上の画像の光芒は18本、絞り羽根は9枚のレンズということになります。

また、現代のレンズは7枚と9枚が非常に多く、10枚以上の物はかなり少ないです。

最も良い画質で撮れるF値は?

F値の画質変化

まとめると

キレのある高画質な撮影がしたいときはF8~F11辺りの中間付近のF値で撮ろう

F値が小さくても大きくても画質に影響が出る。
では最も綺麗な写真が撮れるF値はどこなのか?

答えは中間付近のF値です。

一般的に、レンズは中央付近で最大の画質が得られるように設計されています。
絞ることで、レンズの高性能な部分だけを使って撮影するイメージですね。

例えばF1.4~F22のレンズならF6.3~F11辺りが最高画質となります。

よく「景色はF8~F11で撮るのが一番いい」などと言われるのはこれが理由ですね。

明るさの調整はNDフィルターも便利なので、慣れてきたら使ってみても良いと思いますよ。

NDフィルター

レンズに入る光を抑える役割のフィルター。
晴天下でシャッタースピードを低くしたい場合などで使います。

NDは「Neutral Density(ニュートラル・デンシティー)」の略で、直訳すると「中立な濃度」になります。

「ND」の後に続く番号は「光の量を何分の1に減らせるか」を示しています。
数値が大きくなるほどND濃度は濃くなり、より多くの光量をカットできます。
例えば、ND4なら光量を4分の1(2絞り分)、ND16なら1/16(8絞り分)暗くすることができるということです。

【豆知識】F値の小さなレンズが高価で大きな理由

一般的に、現代の明るいレンズは高価で大きい場合が多いのは何故でしょうか?

最新のレンズは、収差を打ち消すために様々な形状・コーティングのガラスレンズを複合させることで良好な画質を得ています。
一方で、ガラスレンズが増えると暗くなるので、明るくするために口径(直径)を大きくして光を多く取り入れようとします。

高性能なレンズをたくさん使って口径を大きくすると、当然大きく高額になる、というわけですね。

ですが実は、F値を明るくするだけなら難しくないのです。
過去に紹介した『Voigtlander NOKTON classic 35mm F1.4』というレンズはF1.4なのに非常にコンパクトです。

画質と明るさの両立が難しい、ということですね。

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【作例付きレビュー】最高にコンパクト。最高にクラシカルなレンズ『Voigtlander NOKTON classic 35mm F1.4』レビュー

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【豆知識】F1.4 F2.8のように中途半端な理由

F値の進み方

F値はF1.4 F1.8 F2 F2.8のように中途半端な数字となっています。

これには少々ややこしい計算が絡んでくるので興味の無い方はスルーしても問題ありません。
感覚で覚えた方が早いと思います。

レンズ内に入ってくる光の量は口径の面積(口径の二乗)で決まります。
では、開口面積を半分にする(1段絞る)には口径を√2分の1にすれば良いということはご理解いただけると思います。
口径が√2分の1になるので、1段絞るとF値は√2倍(1.4142…倍)になりますね。

例えば、F4から1段絞るとF値は√2倍の5.6568542…となるので、F4を1段絞るとF5.6になる、というわけです。

ポイント

  • F1.4→F2へ1つ絞る:取り込める光の量は半分
  • F8→F5.6へ1つ開く:取り込める光の量は2倍

すぐに使える、シーン別オススメF値

最後に、シーン別のオススメF値を紹介しようと思います。

写真や動画は様々な撮り方があり、レンズによっても表現は異なるので参考程度に見てみてください

ポートレート【開放~F4.0】

ポートレートイメージ

ポートレートで重要なのはやはりダイナミックなボケ

個人的におすすめなのは開放
画質が下がる開放でも良い理由はいくつかあります。

  • 収差の影響で少しソフトフォーカスになる方が柔らかな印象に。肌の粗も目立たなくなります。
  • 開放だとフレアやゴーストが出やすくなります。これらはポートレートとの相性がいいので是非狙ってみてください

景色・夜景【F8.0~F11】

夜景イメージ

景色は隅っこまでシャープな描写が好まれます。

その為には、最大画質が発揮できるF8.0~F11辺りで撮影するのがオススメです

注意ポイント

夜景の場合、F8.0のような暗いF値ではシャッタースピードを稼げないので手持ち撮影は難しい場合が多いです。
その時は三脚などを使ってシャッタースピードを遅くして対応すると良いですよ

スナップ【開放~F6.3付近】

スナップイメージ

スナップ写真はパシャパシャと手軽にたくさん撮るのがポイントです。

なのでシャッタースピードを稼げる開放~F6.3辺りがオススメです。

スナップもシャープさはそこまで必要ではないので、開放にしてソフトフォーカスで撮ることが多いです。
特にオールドレンズなどでは開放が最も雰囲気が出るので。意地でも開放で撮るくらいですね。

少し遠景を撮るときは少しだけ絞って撮ったりして、被写体によって使い分けるのが良いと思います。

物撮り【F4.0~F8.0】

物撮りイメージ

物撮りはボケすぎると被写体のディテールがわかりづらくなる場合がるので、ある程度被写界深度を深くするためにF4.0~F8.0辺りで撮るのがオススメです。

このブログに使っている写真は、大体この範囲で撮影しています。
被写体全体にはしっかりピントが合っていて、それ以外はボケているというのが僕の理想です。

まとめ

まとめると

  • 被写体に合わせてベストなF値で撮ろう
  • 画質を上げるならF6.3~F11辺りがオススメ
  • オールドレンズのように収差を活かすなら開放がオススメ
  • 絞り切って撮ることはほとんどない

さて、少し長くなりましたがいかがだったでしょうか?

F値について理解が深まって、少しでも撮影の手助けになれば嬉しいです。

どんなカメラでもAuto機能が付いているので、簡単に撮れてしまいますが、
F値をマスターすれば一気に新しい表現で撮影ができると思います。

今後もカメラの基礎知識の記事を増やしていこうと思うので、興味のある方は是非また遊びに来てくださいね。

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普段はプロダクトデザイナーとして働いております。 普段からガジェットやデザイン雑貨を買いあさっているので素敵な情報をシェアしていこうと思います。 買って損しない物を紹介していきます。

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